心療内科B型事業所

心療内科通院と「次のステップ」への悩み

「ストレスや環境の変化で体調を崩し、心療内科に通っている」「主治医からは『少しずつ生活リズムを整えましょう』と言われているけれど、日中何をすれば良いかわからない」「すぐに一般企業で働くのは体力も精神力も不安がある」

神奈川県内、特に横浜市のような都市部では、多くの心療内科クリニックがあり、日々治療に励んでおられる方がたくさんいらっしゃいます。治療によって症状が少しずつ安定してくると、次に考えるのは「社会とのつながり」や「就労」のことかもしれません。

しかし、心療内科で扱う症状（自律神経の乱れ、うつ状態、不安障害など）は、体調の波が激しいことも多く、いきなりフルタイムの仕事に戻るのは非常に高いハードルです。

そうした「治療」と「一般就労」のギャップを埋めるための大切なステップとして、「就労継続支援B型事業所（B型事業所）」の活用があります。これは、心療内科での治療を続けながら、無理のないペースで社会参加のリハビリを行うことができる福祉サービスです。

心療内科とB型事業所の「併用」が効果的な3つの理由

心療内科での治療とB型事業所での活動を「併用」することには、回復過程において非常に大きなメリットがあります。

1. 生活リズムの安定化と「居場所」の確保

自宅療養が続くと、どうしても昼夜逆転してしまったり、日中のメリハリがつかなくなったりしがちです。B型事業所は「週に1回、午前中だけ」といった短時間からでも通い始められます。「朝起きて、身支度をして、決まった場所に行く」という習慣は、自律神経を整える上で非常に重要です。クリニックでの治療効果を高める土台となります。

2. 主治医（心療内科）との連携

多くのB型事業所は、利用者の主治医と連携体制をとっています。心療内科の診察は月に1〜2回、数分程度ということも少なくありません。B型事業所のスタッフは、利用者の方の日中の様子（「今日は集中して作業できていた」「少し疲れが顔に出ていた」など）を客観的に把握し、必要に応じてその情報を主治医に共有することが可能です。これにより、主治医は診察室だけでは分からない日常の様子を踏まえて、より適切な治療方針を立てやすくなります。

3. 無理のないステップアップが可能

B型事業所は雇用契約を結ばないため、「体調が悪い日は休む」ことが前提となっています。心療内科への通院日を優先するのはもちろん、急な体調不良や気分の落ち込みがある場合も、無理なく休むことができます。この「無理をしなくて良い」という安心感が、結果として安定した通所につながり、「自分もやればできる」という自信の回復を助けます。

【神奈川県】市町村別エリアガイドと探し方のポイント</h2

神奈川県内で心療内科に通いながらB型事業所を探す場合、最も重要なのは「通いやすさ」です。心療内科への通院とB型事業所への通所、両方の負担が大きくならないよう、立地を考慮することが大切です。ここでは神奈川県の主要な市町村をリストアップし、探し方のポイントをまとめます。

エリア（市町村）	特徴と探し方のポイント
横浜市（中区, 西区, 港北区, 青葉区, 戸塚区など）	心療内科クリニックの数もB型事業所の数も県内で最も多いエリアです。ご自身が通うクリニックと同じ沿線（例：東横線、ブルーライン、相鉄線）や、主要駅（横浜駅、新横浜駅など）周辺で探すと、通院と両立しやすいです。
川崎市（川崎区, 幸区, 中原区, 高津区, 宮前区など）	川崎駅、武蔵小杉駅、溝の口駅、新百合ヶ丘駅など、主要な駅周辺にクリニックも事業所も集まっています。乗り換えの負担が少ない場所を選びましょう。
相模原市（緑区, 中央区, 南区）	政令指定都市であり、橋本駅、相模原駅、相模大野駅周辺を中心に事業所が点在します。地元のクリニックと緊密に連携している事業所も多い傾向があります。
藤沢市・茅ヶ崎市・平塚市（湘南エリア）	藤沢駅、茅ヶ崎駅、平塚駅といった東海道線沿線が中心です。比較的落ち着いた環境の事業所も多く、心身の負担を抑えながら通いたい方にも適しています。
横須賀市・三浦市	横須賀中央駅周辺や久里浜地区が中心となります。地域密着型で、スタッフの目が行き届きやすい小規模な事業所を探しやすいエリアです。
厚木市・海老名市（県央エリア）	本厚木駅、海老名駅周辺は交通の要所であり、事業所も集まっています。通院スケジュールと調整しやすい事業所を選びましょう。

B型事業所利用に関するQ&Aと最初の一歩

心療内科に通院しながらB型事業所の利用を始める際の流れと、よくある質問をまとめます。

【次への行動提案：まずは主治医に相談を】

B型事業所の利用に興味を持ったら、まず最初に行うべきは、通院中の心療内科の主治医に相談することです。B型事業所の利用（障害福祉サービス受給者証の申請）には、多くの場合、医師の意見書が必要となります。

「体調も少し安定してきたので、週に数回、短時間からB型事業所のような場所でリハビリを始めてみたいのですが、どうでしょうか？」と具体的に伝えてみましょう。

Q1: 主治医に反対されませんか？

A1: 症状が安定期に入った方には、主治医からB型事業所の利用を勧められるケースも少なくありません。生活リズムの安定や社会性の回復に繋がると、多くの医師がその重要性を理解しています。不安な点は率直に相談してみましょう。

Q2: 利用開始までの流れは？

A2: (1)主治医に相談 → (2)お住まいの市町村の障害福祉課や相談支援事業所に相談 → (3)気になるB型事業所を見学・体験 → (4)利用したい事業所が決まれば「受給者証」の申請 → (5)受給者証が交付され次第、利用開始、となります。

Q3: 費用はかかりますか？

A3: 障害福祉サービスの利用料は、前年度の世帯所得に応じて自己負担額の上限が定められています。多くの場合、自己負担なしで利用されています。これは心療内科の医療費（自立支援医療など）とは別の制度です。

クリニックでの治療を続けながら、B型事業所で新しい一歩を踏み出すことは、回復への大きな力となります。神奈川県内には、あなたのペースを理解し、サポートしてくれる場所がきっと見つかります。