パニック障害B型事業所

パニック障害と「働きたい」気持ちの狭間で

「また発作が起きたらどうしよう」「満員電車が怖くて通勤できない」「人混みに行くと息苦しくなる」

神奈川県内、特に横浜市のような都市部にお住まいの方で、パニック障害の症状により、社会参加や就労に一歩を踏み出せないでいる方はいらっしゃいませんか。パニック障害は、予期せぬパニック発作や、発作が起きそうな場所（広場、交通機関、閉鎖空間など）への強い恐怖（広場恐怖）を伴うことがあります。

働きたいという意欲はあっても、「通勤途中で倒れたら？」「仕事中に発作が起きたら周りに迷惑をかけてしまう」といった不安が先に立ち、就職活動すらままならない、あるいは仕事を辞めざるを得なかったという方も少なくありません。特に横浜駅や川崎駅のような主要ターミナル駅の混雑は、症状をお持ちの方にとって大きな障壁となり得ます。私の知人にも、優秀なスキルを持ちながら、パニック障害のために通勤が困難になり、キャリアを中断せざるを得なかった方がいます。彼は「能力はあるのに、通勤という第一関門が突破できない」と深く悩んでいました。こうした悩みは、決して珍しいことではありません。

なぜB型事業所がパニック障害の方に適しているのか

こうしたパニック障害特有の悩みを抱える方にとって、「就労継続支援B型事業所（B型事業所）」は非常に有効な選択肢となります。

最大の理由は、雇用契約を結ばず、ご自身の体調や不安のレベルに合わせて通所ペースを決められる点です。

例えば、「まずは週に1回、人の少ない時間帯に2時間だけ通ってみる」といったスタートが可能です。一般就労のように決まった日時に必ず出勤しなければならないというプレッシャーがないため、「行かなければ」という義務感が不安を誘発する悪循環を断ち切りやすくなります。

専門の支援員が常駐していることも大きな安心材料です。万が一、不安感が強くなったり発作が起きそうになったりした場合でも、すぐに相談でき、休憩室で休むなどの対応をとることができます。事業所によっては、比較的静かな環境での作業（PC入力、軽作業、検品など）を提供していたり、状況に応じて在宅ワークを併用できる体制を整えている場所もあります。

ある利用者の方は、「最初は事業所の最寄り駅に降りることも怖かったが、スタッフが駅まで迎えに来てくれるなどの配慮もあり、少しずつ慣れることができた。今ではひとりで通所し、作業に集中できる時間が増えた」と語っています。B型事業所は、社会復帰に向けた「安全基地」として機能するのです。

【神奈川県】市町村別エリアガイドと探し方のポイント

神奈川県内でパニック障害に配慮したB型事業所を探す際は、プログラム内容以上に「通いやすさ」と「事業所の環境」が重要になります。ここでは神奈川県の主要な市町村をリストアップし、それぞれのエリアでの探し方のポイントをまとめます。

利用開始までの流れとQ&A

最後に、B型事業所の利用に関してよくある質問と、利用開始までの流れをご説明します。

Q1: 利用するにはどうすればいいですか？

A1: まずは、お住まいの市町村の障害福祉課や相談支援事業所にご相談ください。その後、気になるB型事業所を見学・体験利用します。パニック障害の方は、実際にご自身の足で通所経路を確認し、事業所の雰囲気（騒音、人の多さなど）が合うかを確かめることが特に重要です。利用が決まれば「障害福祉サービス受給者証」の申請手続きを行います。

Q2: 費用はかかりますか？

A2: 障害福祉サービスの利用料は、前年度の世帯所得に応じて自己負担額の上限が定められています。多くの場合、自己負担なしで利用されていますが、詳細は自治体の窓口や事業所にご確認ください。

Q3: パニック障害の診断書が必ず必要ですか？

A3: サービスの利用申請には、医師の診断書や意見書が必要となる場合が一般的です。「B型事業所の利用を検討している」と主治医に相談し、現在の症状で利用が可能かアドバイスをもらうと良いでしょう。

【次への行動提案】

この記事を読んで、B型事業所に少しでも興味を持たれた方は、まずは「見学」から始めてみてください。パニック障害の特性上、新しい場所に行くこと自体が大きなハードルかもしれません。しかし、多くの事業所はそうした不安を理解しています。電話やメールで事前に不安な点を伝え、人の少ない時間に見学させてもらうなどの配慮を相談してみましょう。あなたのペースで踏み出せる、安心できる場所がきっと見つかります。